小説・文芸

【次世代推理小説】探偵AIのリアル・ディープラーニング

次世代型の推理小説


推理小説が無性に読みたくなって、いつもの如く本屋へフラリと。

「AI」、「ディープラーニング」と興味のあるワードが目に飛び込んできたため、そのままレジへ。

はい、中身は一切観ていません(笑)

でも大体失敗しないので今回も大成功でした。面白かったということ。

ここからネタバレ含む

AIや人工知能を研究していた父の合尾創(あいおつくる)が焼損死体で発見される。息子で高校二年生の推理小説マニアである合尾輔(たすく)は刑事が事故の可能性が高いという見解に納得ができない。事故(事件)の全容を解き明かすための手がかりを探していたところ一枚の「SDカード」を見つける。早速パソコンを開きその中身を確認すると父が開発した「AI」と出会う。名前は相以(あい)。出会うといってもパソコン画面に表示されたアバター。そのアバターは輔のパソコン画面に入っていた画像群から輔の好みそうな顔をディープラーニングし生成したという。その相以に状況を説明すると、自分の姉妹である以相(いあ)の存在を知る。相以は元々刑事役として開発され、妹の以相は犯人役として開発されたという。そこでお互いが成長するために犯人が仮想世界で犯行を犯し、それを刑事が暴くといったディープラーニングを繰り返していたという。

探偵AIと助手の人間が犯人AIと利己的な人間と対決する

推理小説だがテーマが人工知能というだけあって、人工知能が直面する課題も盛り込まれており勉強になる。人間は精密な計算や膨大な量の情報を処理するのには向いていないが、抽象的な概念を把握したり作り出す事に長けている。これは人間以外の生物にはない力で非力かもしれないが唯一無二。一方人工知能はその真逆でどちらも一長一短がある。

仕事でexcelを使った事がある方であれば言うまでもないが、大量の計算や複雑な計算式を組んでもパソコンなら瞬時に何度でも必ず正確な答えに辿り着く。色々な条件をつけ分岐させてもその計算結果には変わりはない。人間にもできない事はないが、間違えたりそれこそ膨大な情報や様々なデータを参照する場合にはいくらあっても時間が足りない。

これらは機械が得意とする所だが、一方でこんな問題は苦手である。
例えば「犬」の写真を見せて「犬」なのか「それ以外の何者なのか」を判別する場合である。

私は犬にあまり詳しくないが、大抵であればそれが「犬」なのか「猫」なのか「像」なのか「キリン」なのかは分かる。でも人工知能にはそれらの判断が難しくなる。それは一つの画像だけで「犬」を文字に説明して見るとよく分かる。何を説明するか。
四本足?猫だってそうだ。
人懐っこい?画像からだけでは判断できないし、犬だってそうでないのもいれば、猫だって人に戯れる。
キリンより首が短い?キリンとは区別できるがどの程度?

多分色々他にも思いつくとは思うが、では●●と比べるとどうなの?と問われると中々に難しいと感じるだろう。でも「犬」の写真を見れば殆ど「犬」と分かるし大抵あっている。人間はそうした言葉に例えるのは中々難しい無数の違いや特徴を抽象化して判断する事ができる。機械にはそれが難しい。ただそれを可能にするのがディープラーニングである。大量の画像データからこれは「犬」これは「猫」など仕分けしたデータを読み込ませその精度をどんどん上げていく。

この小説では、人工知能を語る上でそうした基本的な事や、人工知能がぶち当たる壁(課題)なども相以と輔のやり取りから学ぶことができる。そしてそれをどう乗り越えて行くのかも。

もう一方で気になるというか人類が「AI」「人工知能」から期待するのは、本当に人間の様な「ロボット」が作れるのかという事。恐らく日本人を多くの人が思い浮かべるであろう存在「ドラえもん」。猫型のロボットで自己があり感情もあり限りなく人間に近い思考を持ち合わせている(体型が少々ずんぐりむっくりではあるが)。

私の独断と偏見で言えば可能だと考えている。まだ解明出来ていない事も多いが基本的には脳は電気信号のやり取りである。それは機械も同じ。これを話すとこの書籍と関係ない話しになるので割愛するが、そういった事も色々と考えるきっかけにもなる作品だと思う。
(個人的にはドラえもんにはディープラーニングをより一層行って頂き、のび太が怠けない様に、過ちを繰り返さない様にするにはどう接して、どんな秘密道具を使うのか、はたまた使わないのかを精査してもらいたいものだが、そうなると物語として成立しなくなるので期待するのが間違ってはいるのだが)

見所は設定とAIの人間味と非人間味



やはり現代ならではの「AI」を取り入れている所と、それを「探偵役」と「犯人役」として登場させている点である。またテロリスト集団が登場するのだがそこにも「AI」の存在があり、人間が利用しまた利用されるといった、今の大多数の人間が期待し危惧する設定が盛り込まれている。

「AI」が人間の様に振舞うことが可能か否か。「AI」が人類をしてしまうのかも要所に散りばめられていると感じた。
(これまた個人的に楽観視しており、支配するとかされるではなく上手く共存共栄していくと信じている)

殆ど「人工知能」の目線から本作について勝手に色々と連ねてきてしまったが、推理小説に私が一番期待する「読者への裏切り」という肝心要の部分も後半に埋め込まれており満足のいく作品だったと思う。おすすめです。

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