小説・文芸

オーパーツ 死を招く至宝 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)【ヒント発見士ぴーちくぱーちく】

タイトル:オーパーツ 死を招く至宝 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者:蒼井 碧 

ターゲット層:短編が好きな方。手っ取り早く本を読みたい方。トリックを効率よく味わいたい方。

要約:姿形が瓜二つ。それはドッペルゲンガーを思わせる。一人は貧乏な大学生。もう一人は性格に欠陥がある鑑定士。鑑定士といっても想像する鑑定とは異なりそれは少々特殊。「オーパーツ」と呼ばれる。その時代の技術ではそれを作成するのは不可能であるはずの工芸品のことを指す。そんな二人が偶然にも同じ大学に所属しており、偶然にも顔が双子のそれと同じ。その二人がオーパーツに関連した事件に関わりトリックを暴いていくという話。

本書から得られた事:一重に残念だった。これが1話目を読んだ率直な感想。1話目と言ったのは、本書は300ページ程で、4つの話とエピローグで構成されている。本の帯にも「第16回 このミステリーがすごい!大賞 大賞受賞作」とあったし、「不可解な謎と鮮やかな解決。(中略)シリーズ化に期待大 宮部みゆき氏熱讚!」とあったから。

確かにキャラクターと、オーパーツ鑑定士というあまり馴染みのない設定、ドッペルゲンガー、トリックという全体の構成は良かった(上から目線ではなく新しい体験をすることは、私にとっていつも興味深く、凄く勉強になることと思っている)。だから残念だったし、発見があった。

「残念」と感じたのは、物語が動いて、事件が起きて、トリックを見破ってと一連の展開が速すぎた。もう少し人物像であったり、事件現場の手がかりを調査する時間だったり、容疑者との会話であったり、読者があれこれ想像したり、物語の中に入っていく時間が欲しかった。

これの状態をなんというのかなと、一日思案してやっと出てきたのが「速読」だった。



内容も分かるし、重要な部分が頭に入った。でも余計なことが削ぎ落とされている感覚。といえば伝わるだろうか?

物語としては足りない事はないのだけれども、物足りない。




人に伝える為には時間と余計が重要




感動する言葉があるとする。人それぞれ色々あるとは思うけれども。例えば、

生きるうえで最も偉大な栄光は、決して転ばないことにあるのではない。転ぶたびに起き上がり続けることにある。

ネルソン・マンデラ

この言葉が名言と呼ばれたり、人の心を動かすのには訳がある。それは発した人の人生という時間、背景という余計(余計というと語弊があるかもしれないが、核となる事柄から派生している枝葉)などストーリーが十分に相手が理解した上で、その言葉を聞くからである。

見ず知らずの人が、急に同じ言葉を発したとしても、誰も感動しない。文章だけ見れば全く同じことを言っているにも関わらずである。

私には、この小説で心が動くには時間と余計が足りなかったように思う。勿論同じ文章を読んでもそう思わない人もいるだろうし、読んできた本の数、経験してきた事も違うので、一概には言えない。

だから私は本の良し悪しがどうこう言いたいのではなく、本書から学んだ事は、効率化を求め、無駄を削いで必要最低限だけを相手に伝え、物事を進めるだけでは足りない事があるという事。時としては、一見無駄を思えるような会話が必要な時もあるし、相手に考える時間を与える必要があるということ。

こんな風に小説を読んで、こんな風に考えるのはちょっと普通ではないかもしれないけど、私はどんな本からでも、どんな人からでも何かを得たいと思っている。

このブログを書いているのも、本を読むだけで終わらせずに、なんらかの形で成長させるため。アウトプットする事で、より深く浸透させるため。アウトプットしようと思って読んでいるだけで、発見がある。

そして私は、このブログを読んだ方から様々な意見を頂き、どんな読み方をして、どんな本からどんな事を吸収されているのかを知りたいと思っています。

人によって感じ方はそれぞれだし、自分が感じたことだけでは通り一辺倒になり、幅がそれ以上広がらなくなってしまうから。

もし当ブログを読んで、色々な読み方の気づきや、そこから何がしかの行動に繋がれば非常に嬉しく思います。



ここまで読んで頂きありがとうございました。

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