小説・文芸

時計屋探偵が最速で推理する7つの短編小説-アリバイ崩し承ります

アリバイ崩し承ります

妙な設定と最短最速の推理小説-7つの短編-

新米刑事と同じ感想を持ってしまいます。

時計にまつわる依頼を受けるのが、本書に出てくる時計屋の方針。

どんな事件、推理小説にも必ず出てくる必須事項。それはアリバイ

アリバイは事件があったその時刻には私にはその犯行が不可能だと証明をするもの。

アリバイには必ず時間が関係する。時間を視覚的に誰が見てもわかるように表示する道具、それが時計

だから時計を商売道具とするこの時計店は時間にまつわる、時計にまつわる仕事、依頼は受けるのが方針だという。

店内には「アリバイ崩し承ります」「アリバイ探し承ります」という怪しげな貼り紙がある。

どうですか。腑に落ちますか。ちょっと強引すぎる気はしますが何か引っかかるものを感じてしまった私たち読者はその時点で負けています。

私はこの表紙だけを見て気になってぽちぽちしてしまいました。

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ざっくりと、かなり端折って内容を紹介します。

ある捜査課に配属された新米刑事。事件を捜査していくが中々解決の糸口が掴めない。たまたま時計の電池がなくなり近所の商店街で時計屋を見つけ電池の交換をすることに。そこで妙な貼り紙を見つける。「アリバイ崩し承ります」職業上全く関係のない一般市民に捜査内容をバラしてしまうのはNG。解決できなければ無償。解決できたら1件5,000円。捜査が行き詰まっていたのと、何か感じるものがあり結局その場で「アリバイ崩し」を依頼してしまう。

大体こんな感じで話しが始まります。

全部で7つの短編集からなっています。

全てに共通するのは、新米刑事が捜査に行き詰まって時計店にGO。

時計が売れるよりも、時計の修理をするよりも謎を解く依頼を承るのが嬉しそうな先代から引き継いだ若い女性店主。

新米刑事が事件の概要と関係者のアリバイなど捜査を進めていく上で知り得た情報を報告する。

たったこれだけで、この一言。

時を戻すことができました。アリバイは崩れました

どこにも足を運ばず、ただ事件のあらましを聞いただけで、謎を解いてしまいます。

推理小説と言っても探偵には色々な種類の人物像があります。

泥臭く現場を洗い、証言者からなんども話しを聞きながら違和感を一つずつ集めて、動機と殺害方法、アリバイがどのように作られたかを検証して真実を暴き出す探偵。

天才的な頭脳で初めから犯人を特定。それを証明するためだけに証拠を探す探偵。

天才的な頭脳をまた犯人も所有しており、探偵と犯人の熾烈きわまる頭脳戦を描く探偵小説。

上げていけばキリがありませんが、本書の探偵は見えている事実だけから情報を読み取り、そこから考えられる論理的な道筋を辿って真実に行き着く正統派の探偵です。

新しい妙な設定と正統派の探偵が織りなす7つの短編推理小説。

個人的には第5話の「時計屋探偵とお祖父さんのアリバイ」がおすすめです。

このお話しは、実際に事件が起きた訳ではなく、祖父が孫である現在の時計屋の店主がまだ子どもだった頃に、「アリバイ崩し」を教えるために祖父自らが実践した仮の事件です。

細かい内容は割愛しますが、トリックのそれ自体が面白い。

そして、それを解明するまでに至る、孫のあらゆるアリバイ崩しの提示が、このように推理を作ったり解いていくプロセスなのかと、ヒントを得ることができました。非常に勉強になりました。

おそらくどんな探偵や刑事もこの孫で現在の時計屋探偵、祖父のように、あらゆる可能性を一つずつ検証して、論理的に説明できるか否かを判断しているのでしょう。

私が推理小説が好きな理由はここにあります。

凄く頭を使いながら読むので適度な疲労感と読了後に訪れる、答えをさせなかった悔しい感とパッと視界がひらけた爽快感が味わえるからです。

疲れるけど楽しい、そんな感じです。

また、純粋に沢山の知らないが知るに置き換わるのも要因の一つです。

トリックにはいくつか種類がありますが、認知バイアスを利用したものや、科学を利用したもの、その業界の常識や慣習、ある特定の条件によって発動するもの、など普段生活しているだけでは知り得ない情報を知ることができます。

他には、犯人の動機です。

何故その犯罪を犯さなければならなかったのか、苦悩などの心理描写も描かれます。

様々な人の考え方を知ることもできるし、共感もすることができる。

要するに推理小説は知的好奇心を満たすことができるから、これが私が推理小説が好きな最大の理由ですね。

最後は私しの勝手な思いを書いてしまいました。ごめんなさい、と言っても別に反省をする訳でもありませんが(笑)

まぁ、なにはともあれ、推理小説っていいものですよ。
(強引なまとめでごめんなさい。これは反省します)

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