小説・文芸

ジェリーフィッシュは凍らない-鮎川哲也賞受賞作-設定と展開が秀逸

独自の設定と予想外の展開が秀逸な作品

おもしろい。

読み始めてすぐにこの作品は「面白い筈」と思えました。どんな設定なのか、どんな話しなのかをここで書く必要もないと思うので率直な感想をずらずら津々浦々と適当に書きなぐりたいと思います。

犯人の視点、被害者たちの視点、警察の視点、当時の出来事。これらの時間軸がそれぞれ少しずれながら、各章ごとに区切られながら話しが展開していきます。

謎をずっと残したまま、最後に大どんでん返しーというものではなく、少しずつ明らかになっていき読者のボルテージが徐々に上がっていく。読みながらどんどんワクワクしながら引き込まれていく作品です。連続ドラマの用ではあるけれど、週ごとに山場があるというよりかは、下限がどんどん切り上げられて全体の面白さが少しずつ上がっていく感じ。

株式市場でいくと若干の上下があるにせよ、長期的に見ると株を公開したときの価格が右肩上がりになり、気づけば膨大な利益を手にしているのと同じように、面白さが高まっていくイメージ。

ページをめくるごとに謎が明らかにはなっていくのだけれども、明らかになればなるほどその「謎」が想像以上に深く出口の見えないあかりのないトンネルのように。井戸が深く明かりが底まで届かないように。

進めば進むほどわからなくなってくる感覚を味わうことができました。

読めば読むほど先が知りたくなる典型的な小説の楽しみがここにあります。

ミステリ、推理ものの観点でも人気のあるクローズドサークルが盛り込まれていたり、犯行の不可能生、犯人が消えたなど、推理小説好きにはたまらないピースが多く盛り込まれています。

また、設定も現代の様でもあるし、昭和な近未来というのでしょうか。この感覚は共感してくる人はいないかもなー。いたら嬉しいけどなー。なんと言えばいいのか難しい。解説にも書かれているのですがパラレルワールドなんです。似てはいるのだけれどもちょっと違う。技術は今と似通っていてある部分では少し先をいってはいる様だけど最先端ともなかなか思えない。

伏線と設定と物語の見せ方が上手く噛み合って融合すると、本書の様なとても胸おどる作品ができるのだなと感じました。

ぶっちゃけていうと最後のページよりかはその手前50ページくらいまでがピーク。あとは余韻で読んでよかったなーと思える作品でしたとさ。

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