小説・文芸

その可能性はすでに考えた-悪魔の証明ならぬ奇蹟の証明

奇蹟を証明する新しい推理小説

これまた度肝を抜かれました。なんせ探偵がおよそ人間が取り得る事ができるトリックを全て可能性として考え、それが出来るはずもないと証明し、「故に奇蹟が起きた」としか考えられないことを証明するという、過去類をみない斬新な発想を具現化した推理小説です。

本の帯にもこう書かれています「本格ミステリにまだこんな発想があったのか!?」と。

どんな奇抜なトリックや大どんでん返しの結末があるにせよ、およそ私が読んできた推理小説では、犯人のアリバイ、殺害方法を煙にまくトリックを、鮮やかな発想とことば巧みに犯人の言質を取り、真相を華麗につまびらかにし、犯人、関係者はおろか読者を驚かせる。

大抵はそんな道筋を辿っていきます。

しかし、そんな常識を斜め上どころか、真逆の戦法をとってくるのが本書「その可能性はすでに考えた」です。

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少々ネックなのが設定と登場人物です。特に登場人物に中国人が出てきたり、言語だったりと、普通に日本で暮らしている私たちには馴染みが薄い文章が多く出てきますので、途中で読むのを辞めてしまうかたが出てきてしまうことを危惧してしまいます。

現に私も数十ページをめくったところで「ちょっとよく分からないから、一旦別の方を読もうかな」と思ってしまいました。

でも何故か、とりあえず分からないことはすっ飛ばしてもう少し読んでみようと思い現在に至る、です。

多分タイトルの「その可能性はすでに考えた」というのが妙に気になっていたのと本の帯の「本格ミステリにまだこんな発想が云々かんぬん」がやっぱり気になったからだと思います。

そしてやはりとでもいいましょうか、冒頭でも書いた通り今まで読んだことのない推理小説が本当にあった、と驚いています。

万人受けをする内容ではないと思いますし、邪道と思うかたもいるでしょう。私も何かおすすめの本はありますか、と聞かれても真っ先に本書である「その可能性はすでに考えた」を提示することもないでしょう。

非常におこがましいことは重々承知も重ね重ね恐縮の境地でありますが、推理小説を読んで来た方にはおすすめできます。既に読んでるよこのバカチンが、とお叱りを受けるかもしれませんが、もしまだ読んでいらっしゃらない方がいるのであれば、知っておいて損はないと思います。

好き嫌いは別として、本書で登場する仮説やそれへの反証の方法論やプロセスなどは単純に面白いかと思います。

それにしても推理小説というものは非常に奥が深い。毎回瞠目しっぱなしです。毎度毎度新しいとか騒いでいる気がします。

だからこれからもなんども何度も新しい、とか類を見ない、とか一線を画す、とかいうかと思いますが、読み続けて紹介していきたいと思いますので、今後ともご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。

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