小説・文芸

天久鷹央の推理カルテII: ファントムの病棟-知念実希人

天才女医・天久鷹央が解決する医療ミステリー第二弾

統括診断部という、病院内の他部署で原因不明な病状、疾患を抱えている患者を引き受け、天才女医である天久鷹央が診断を下し問題を解決していく。

本書はその第二弾にあたり、三部構成で物語が展開していきます。

読んだかたはご存知かと思いますが、この統括診断部、そしてそこの部長でありながら副院長でもある天久鷹央は相当の変わり者です。

天才的な頭脳を持っていますが、それと引き換えに天才的に協調性がないというか、人に気を遣うとか、通常の大人であればある程度持ち合わせている能力というものが完全無欠に欠落しています。

それゆえ、疎まれ煙たがられてしまう。

それを補うのが「僕」こと小鳥遊。小鳥と愛称で親しまれ(?)凡人並みの診断力と凡人並みの社交力で天才天久をフォローする。

この二人とやかましいもう一人が病気(事件)を解決していきます。

一章:甘い毒

ある超巨漢のトラック運転手は毎日4.5リットルもの炭酸飲料水(コーラ)を飲む。いつもと同じように飲む味に違和感を覚える。そのまま運転していると間も無く意識が遠のき事故を起こしてしまう。

最近近隣で毒物混入の騒ぎがあり、自分も炭酸飲料に毒を盛られたと訴えるも検査の結果は毒物の反応は見られない。しかし確かに味はおかしいし、炭酸飲料水を飲んだ直後に異常をきたしている。この謎の原因は一体なんなのか。

二章:吸血鬼症候群

病院内で輸血用の血液が盗まれるという事件が発生。その盗まれた血液が入っていた袋が病室から発見されるが、袋は噛み千切られたような痕跡がある。一度だけでなく複数回発生し吸血鬼の仕業ではないかと噂が蔓延する。本当に吸血鬼が血液を盗み血を啜っているのか、あるいは。

三章:天使の舞い降りる夜

最近小児病棟で急変する患者が続出している。治療を終えそろそろ退院という時期になると急変し退院の時期が伸びてします。急変した患者は重症ではなく、時間が少したつと元どおりになる。

時を同じくして今度は病室に「天使が出た」と。

急変する患者と天使の出現。この二つの事象に関連性があるのか。

急変した原因は?

本当に天使が出現するのか?

割合は1:1:2

一章と二章はいつものように、不可解な病気(事件)ではあるものの、天才的な頭脳を持つ天久鷹央が診断を下し解決していきます。この二つの話しを合わせて紙面のおよそ半分。

もう半分で最後の物語が語られるのですが、最後の話しだけは少し毛色が異なります。病気(事件)だけを見れば内容は違うにせよ系統は同じです。

しかし、結末が異なる。

初めて少しネタバレになってしまうかもしれませんが、医療系のドラマや物語を語る小説など、必ずといっていいほど出てくる、避けては通れない問題というか事件というか、そういう状況が今回最後に発生します。

フィクションと分かっていても胸が痛くなり、いてもたってもいられないというか、やりどころのないというか、とても辛く悲しい気持ちになります。

こういう精神的な辛さから逃れたいから、感動だとかヒューマンドラマ的な物語を好き好んでは観ないようにしているのかもしれません。

自分で体験しなくても代理体験できるのが読書の素晴らしいことなのですが、どうもやっぱり慣れないものです。

でも、たまに触れることで一度立ち止まって考えるようになります。身の振り方、人との接し方など。そう考えるとやっぱり読書は必要だし、色々なジャンルの本を手に取り吸収していきたいなと思わされます。

まさか推理小説、ミステリー小説でこう思わされるとは思ってもいませんでしたが。

少し脱線しましたが、この「天久鷹央シリーズ」はキャラクターと話の展開、医療の知識がそれぞれいいバランスで、とても面白いと思います。まだ全て読んではおりませんが、これから読んでいきたいと思います。

もしよければどうぞ。

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