小説・文芸

マリアビートル-グラスホッパー続編-殺し屋達の饗宴

新幹線内で繰り広げられる殺し屋達のコントのような攻防

本作は伊坂幸太郎さんの「グラスホッパー」の続編。前作同様に様々な特徴を持った沢山の殺し屋達がある人物からの依頼を受けて、新幹線内という特殊な制約の環境下の中、任務の遂行と自身の安全確保のため物語が繰り広げられていく。

「殺し」という非日常という題材を取り上げているが、登場人物の殆どに特に嫌悪感を抱かせず、時には面白おかしく描かれているから面白い。

それぞれが非常に尖った性格というか偏った思考を持っている。

殺し屋達もそれぞれペアで行動し、それぞれがこれまた対局に位置した考えを持っていて、どこかコントを見ているかのようなやり取りが、「殺し」というシリアスにも関わらず、クスっと笑ってしまう時さえあるのも見所の一つ。

ここは前作「グラスホッパー」から踏襲されている。

一応続編となる時間軸ではありますが、前作「グラスホッパー」を読んでいなくても十分に楽しめる作品なので、「マリアビートル」を読んでから「グラスホッパー」に戻って読んでも全く問題はありません。

少し「コントのような」と先ほど書きましたが、一人本作には中学生が登場するのですが、この人物だけは最悪の人物です。

汚い言葉で申し訳ありませんが、反吐が出るし吐き気を催すほど屈折した考えをもち「悪」という言葉しか形容が思いつかない程に最低の人物です。

「人は人を何故殺してはいけないのか」

いきなり書き出しましたが、物語を楽しむ反面、読者にも簡単には答えの出せない問いを、作中を通じて投げかけてきます。

そこを無視してただただ単純にこの世界観を味わうのでもいいですが、それだけではなく根本的な哲学にも似たような問題を考えさせるこの「マリアビートル」を頭を悩ましながら読んで見るのみまたいいと思います。

600ページ弱程もあるかなりボリューミーな小説ですが、おそらくすぐに読み終えてしまうと思います。私は続きが気になり途中でやめたくなくなる中毒性が前作同様に本作にもあり、一日で読み切ってしまいました。

最後には爽快感もあるので、そこは安心してください。ただただ嫌な感じで終わることはありません(笑)

それにしても、殆どが新幹線の中だけ。途中で止まる駅をその前後でのハラハラドキドキ。

殺し屋は一体何人登場するのか。

落ちもあったり、会話も面白いのでおすすめです。

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